【 電脳雑記帳 】

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◆2007/4/20 発売

■エロゲ:『VENUS BLOOD(ヴィーナスブラッド)』 1stインプレ

VENUS BLOOD』 ¥9,240(税込) 制作:DualMage

VENUS BLOOD神代の時代の戦いによって人の住めなくなった大地の一角に、聖なる樹木の力で守られた国家があった。フォートリンデと呼ばれるその国で神官を務める主人公だったが、彼の胸中は、その国を治める王族、そしてその国そのものへの復讐の念に満ちあふれていたのだった。その邪な思いに一匹の淫魔が応えたとき、ついに彼は復讐への第一歩を踏み出す。聖樹の守りを破り、この国を背徳の都に変える『大奈落落とし』を成就するため、彼の触手は日夜蠢くのであった。

というわけで、本作は3人の王族とひとりのメイド、そして一匹のサキュバスをH対象とした、触手調教SLGです。細かくパラメータを育てて調教変化を楽しむ本格派SLGというよりは、条件を満たして調教イベントを発生させていくタイプの調教ゲームですね。


■グラフィック・演出について

 新ブランドとはいえ、WestVision・ninetailの系列なので、グラフィックは雰囲気がいっしょですね。「機械仕掛けのイヴ」相当といったところでしょうか。ただし段々と灰汁の強さは無くなってきていて、間口は少しずつ拡がっている気がします。わたしは「かくれエッチ」のころから同社のキャラ絵は気に入ってるので参考にはならないかもしれませんが…。ただ、既存作に比べると、キャラの「感じている表情」が大人しめなのがちと残念。

 本作は調教ゲームですが、調教パラメータ画面の立ち絵以外で、「調教度合い」をビジュアルで感じさせる表現に乏しいのはちょっと残念でした。また、調教イベントに対する絵のバリエーションも豊富とはいえず、調教シーンがちょっと単調に感じられたのは欠点でしょう。差分はそれなりに多いんですけどね…。

■ストーリー/テキストについて

 相変わらず、主人公の動機付けが弱いですね。主人公が半ば逆恨み的な理由で復讐に乗り出すのは別にいいのですが、動機の説明の初期段階から、復讐の対象者(国王とか)に同情の余地がありありとあるのはどうかと思うのですが…。国家転覆どころか「人間を捨てる」覚悟を持たせるには、ちょっと根拠薄弱という印象を受けました。また調教SLGにとって重要となる、調教対象のキャラ立てが弱いのも問題です。本作はキャラ描写の比重が圧倒的に「調教開始後」となっているので、どうにも序盤は置いてけぼり感が強い。しかも調教段階に応じたヒロイン達の心理描写に乏しいので、ゲーム的な変化をシナリオで味わう要素が薄いのも残念なところです。ほぼ全篇が触手陵辱なせいか、いきなり媚薬で感じさせるので性感の開発過程が楽しめないんですよね…。

 テキストに関しては、とりあえず推敲・校正はもっと念入りにやることをお奨めしたい。「病気で病死」といった、同じ言い回しの連続があちこちにあるのは萎えます。

■ゲーム性について

 調教SLGと書いてはありますが、本作で重要となるのは調教の産物として収集する「スートラ」と呼ばれる邪悪度。これをいかに効率よく集めるかによって、エンディングの正否が変わるのです。もちろんヒロイン分岐はあるので調教自体の比重も決して低くはないのですが、調教結果の多様性を楽しむタイプのSLGではないことは留意しておくべきでしょう。どちらかといえば、経営育成SLG的なゲームデザインです。(というかぶっちゃけ「機械仕掛けのイヴ」からバトルパートを取り除いたようなもんです…)。個々の調教はひとつのHイベントとして構成されているので、パラメータ育成型調教ゲームと違ってストーリー仕立てのHシーンとなっており、おかずに使いやすいのは魅力です。

■エロについて

 多数のHシーンに触手を用いるので、触手苦手な人は手を出さない方が良いかと。とはいえ、特殊エッチで昆虫とまぐわって孕んで母性に目覚めるという、ぶっとんだシナリオを見るのは一興かも。(蝶からママとか言われるヒロイン…) 個人的には触手H主体にしては陵辱色やグロ描写がほとんどないのが、良い印象に働きました。触手というよりは「そういった道具」という扱いに近いので、コアな触手好きには物足りないかもしれませんが。あと、ヒロインを他の男に抱かせるイベントが結構あるので、独占主義の強い人は要注意かも。

ただし、喘ぎ声がどれも説明口調なのは個人的には大いにマイナス。私としては、恥辱プレイ以外での内面描写は、モノローグで良いと思うんですよね…。また通常シナリオもそうなのですが、テキスト運びのテンポが一本調子なので、Hシーンを続けてみているとどうにも単調さを感じてしまうかもしれません。責めに対するヒロインの反応にバリエーションないのも問題ですね。媚薬強力すぎ…。あと、ミアンの声優は別の人用意した方が良かったと思う…。

■現在の評価

 Hも手軽に見れるし個々のボリュームはそれなりに豊富なので、抜き目的としてはキャラが気に入れば大きな外れはないでしょう。ただし、エンド分岐の条件達成はけっこう難易度高めなので、全ルート制覇はそれなりに苦労を覚悟する必要があるように思えました。初回エンド時のスートラは6万5千でしたが、そんなに脇道それた気はないんですよね。またゲーム性はともかく、シナリオには大して期待しないこと。今回はキャラ立てが弱すぎる…。

というわけで現状の評価点は69点とします。それなりに割り切って遊ぶ分には悪くない作品かも。


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制作責任 九牙 -KYU_GA-
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