【 電脳雑記帳 】

『エロゲ感想』
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◆2008/8/29 発売

■エロゲ:『てとてトライオン!』 1stインプレ

てとてトライオン! 』 ¥9,240(税込) 制作:PULLTOP

てとてトライオン!  初回版 世界最先端を誇る技術で作られながら、相次ぐシステムダウンで様々なトラブルを起こし、いまや学園生の日々の努力によってなんとか運営されている奇妙な学園都市『私立・獅子ヶ崎学園』に、ひとりの転校生がやってくるところから物語は始まる。この学園の制作者にして世界的発明家を父に持つ転校生・鷲塚慎一郎は、父の与えた特殊技術によって、システムダウンした学園機能を復旧できる能力をもっていたことから、学園の救世主と持てはやされる事に。しかし、特定のパートナーと手と手を繋ぎ、心を重ねてシステムにアクセスしなければその能力は発動しないことから、生徒会は彼を中心とした学園特別組織「獅子ヶ崎トライオン」を結成する。女の子達と協力して学園の平和を守り、一ヶ月後の『獅子ヶ崎祭』を無事に迎えることができたとき、慎一郎の隣には、身も心も重ねた最愛のパートナーが寄り添っていることだろう。  

 というわけで本作品は、トラブルを解決しながら女の子達との関係を深めていくという、比較的オーソドックスなテーマにSF的な要素を盛り込んだ18禁学園恋愛AVGです。
とりあえず、てまーこと「十倉 手鞠」をクリアしたので、1stインプレいってみます。
08/30 鈴姫もクリアしたのでいろいろ追記! 鈴姫可愛い! とりあえず2クリア終了時点で価格以上の満足感が得られました! OK俺的良作に+1だ。


■グラフィック・演出について

 この主の作品には一定の評価があるブランドらしく、グラフィックのレベルは総じて高い。特に、各女性キャラの快活さや、幸福そうな笑顔の魅力は健在だ。むちむちした肉感の良さと、快感に悦ぶ顔など、Hシーンのエロ可愛さも良し! 立ち絵やイベント絵の差分は多く、上記のCG回想枠の数以上に、画面上の演出はバラエティ豊かな印象を受けた。とくに会話シーンのスクリプト演出は凝っており、ヒロインとの距離感を表現する「サイズの異なる立ち絵」や、ズーム機能を用いたトリミング演出は特に優れていると言えるでしょう。スクリプターGJだ。

 とはいえ、SD絵で誤魔化しているともとれる表現もあり、作品物量とメイン原画家の力量とのアンバランスさが若干伺えるのも相変わらずといえば相変わらずだ。

■ストーリー/テキストについて

 手鞠ルートのみのクリアではあるが、主人公が前向きで無駄に暗い展開に走ることもなく、最初から最後まで爽快感を保ったストーリーで突っ走ってくれたことは、個人的に非常に好感触でした。また恋愛描写にしても、手鞠の遠回しなアプローチに気づかない主人公に対して、苛立つことなく、それどころか微笑ましく受け取れる内容だったのも評価点でしょう。

鈴姫ルートではふたりの気持ちの空回りが大きなテーマなので若干ヤキモキする部分はあったものの、それが無駄に尾を引かず、カラッと気持ちよく解決するので無問題。恋愛の段階的発展を夢見つつ、実際に膨らむ想いのスピードに戸惑う様とか、好きだけど素直になれないところとか、全生徒公認のカップルに認定されて囃し立てられたりなど、こっ恥ずかしい恋愛モノの王道がこれでもかと目白押しで、終始ニヤニヤしながら画面にツッコミ入れまくりですよ。素直になれない素直っ娘ってのはどうしてこんなに可愛いんですかね。

また本作は、各ヒロインにそれぞれひとりずつ、同性のパートナー・親友的なキャラが設定されているのが特徴です。これらサブキャラクターの個性付けはメインヒロイン4人に勝るとも劣らない内容なので、正直言って攻略できないのは惜しいほどですが、各ヒロインキャラの個性により深みを持たせることに成功しています。この成功は「攻略できないこと」によってプレイヤーに余裕を与えることで実現しているとも思えるので、この手の作品の魅力的なサブキャラというのはホント扱いに工夫がいるなと思ってしまいます。まあそれはそれとして、ちーさんは可愛いし芹菜さんは良い味出してるし鷹子さんは男前すぎるわ。優は他のパートナーキャラと比べるとキャラがちょっと弱いですが、鈴姫シナリオでは美味しい役回りと素晴らしいコスチュームで魅力爆発でした。

■ゲーム性について

 1ヒロインクリアに7時間以上を要するシナリオのAVGとしては、選択の機会は恐ろしいほど少ない。手鞠個別ルートまでに出現した選択肢は、たぶん2回しか出てこなかったと思う。その分、攻略に迷う要素もほとんどないのだが、ひとつ注意すべき点があります。それは、最初の選択肢でルートが大きく、夏美・会長ルートと鈴姫・手鞠ルートに分かれてしまうことです。比較的早い段階で分岐するので、攻略したいキャラとの対応には十分留意しましょう。

 しかし、プルトップの社内ライン作品は比較的「ゲーム性」に拘ってきていただけに、完全に「紙芝居系」に特化してしまった本作のゲーム構成には少々寂しさを感じてしまいました。別ラインとの作品性での差異がほとんどなくなったのも、これまでの反省にたっての選択だとは思いますが、個人的には残念です。

■エロについて

 手鞠シナリオに関していえば、濃いエロとは呼べませんね。シーン数は4ですが、ストーリー構成内のHシーンは2回。1回目が「フェラ」+「女性上位」で、2回目が「後背位」+「座位」という構成になっています。2回目では連続発射・連続絶頂など若干頑張ってはいるのですが、全体的に喘ぎ声主体で描写が少ないこと、また前戯描写がほとんど無く挿入シーン主体なので展開が単調なこともあって、あまりオカズ性は高くありません。なにより、けっこう長いシナリオの終盤に纏めて発生する配置なので、ぶっちゃけコンシューマ移植には楽な作りだなと、少なくとも手鞠ルートでは感じました。

 そんでもって鈴姫シナリオですが、打って変わってストーリー展開に巧いことHシーンまでの流れが組み込まれていました。好意に気づき、想いを確かめ合ってカップルになって、想いが膨らんで触れたくなって、そんな想いに戸惑い悩み、でも最後は気持ちに素直になってHで幸せという、恋愛エロゲとしてはほとんど文句のない導入でしたよ。手鞠ルートより前戯充実してたし、何よりHシーン中の鈴姫がエロ可愛すぎる! エロい表情が可愛いしHシーンの台詞がイチイチ萌える。 Hシーン数が4ヒロイン中で一番多い事からも判るとおり、この子が今作の「エロ担当」なのかもしれませんが、極端な話し、私は鈴姫シナリオだけでも定価以上に満足感を得ることができた次第。ビバ鈴姫!

■現在の評価

 お話的には、ご都合主義も何のその、主人公達の頑張りがしっかり叶って万々歳のハッピーエンドなので、肩肘張らずに楽しめるのは評価点かと思います。特に、各ヒロインのキャラ立てが良く、個別ルートに入ってもメイン以外のヒロイン達がしっかり最後まで活躍するなど、「チームモノ」としての面白さが最後まで損なわれなかったのは良かった。反面、エロに関してはキャラ毎に密度に斑があり、比較的薄い部類に属するので、こちらを主目標として本作を遊ぶのは危険かもしれません。でもとりあえず鈴姫の萌えエロは素晴らしかったので私はOKだ。

 スミマセン。鈴姫に完全KOされたので、評価点はいきなり75点つけさせていただきます。手鞠のエロが九牙的に残念だったので、太鼓判レベルの80点は押せないのですが、完全に九牙のみ評価なら85点つけていいかもです。それだけ鈴姫シナリオがツボだったてことですな。



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制作責任 九牙 -KYU_GA-
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